観察者

ビジー中佐


(いけないこと・・・でも・・・MAKUBEXの補佐として人間関係は把握しておかねばならない)

朔羅はそう自分を納得させるとモニターを凝視する

そのモニターには一人の男が映っていた





「今日は用事があるから非番にしてね・・・」



花月が今朝方頼んできたのだ



(花月が突然言い出す時はいつも誰かと会うとき・・誰にあっているかなんて私には関係ない・・・)



「でも好奇心には勝てないわ・・・」



朔羅が一人つぶやいたとき後ろから不意に声をかけられる



「・・・観察かい?」



白い服を着たホスト―――――鏡 形而が朔羅の背後に立っていた



「・・・いつからそこにいた」



朔羅は質問には答えず鏡に聞き返す



「・・・さあね それにしても朔羅にはそんな趣味があったんだね? いい趣味とは思えないけど」



鏡はクス・・と笑いながら話す



朔羅は頭に怒りマークを付けながら声はあくまでいつもの調子でそっけなく返す



「あなただって似たようなものでしょう どうこう言われる筋合いはないわ」



朔羅は彼が嫌いだった

その笑いも朔羅の怒りを誘発する



「相変わらず冷たいねえ・・・そんな君が大好きなんだけど〜」



更に朔羅に怒りマーク追加



(こいつは一篇痛い目にあわさないと判らないのかしらねえ)



怒りのオーラが朔羅の周りを漂う





「・・・・・・・・・・」



朔羅は無言のまま画面に向かう――――――









無限城のロウアータウンの離れの廃墟ビルで花月は待っていた



「・・・遅いなあ」



右側から人影が現れる



「すまぬ・・・ちと遅れたようだ」



花月は振り返ると男の胸に飛び込む



「十兵衛!!待っていたよ!!」



花月を受け止めながら十兵衛は話しかける



「花月こんなところに呼び出して・・・なにか特別な用があるのか?」



「うん!!今日はね渡すものがあるんだ!! はいっ!!」



うれしそうな笑顔で花月が差し出したものは一枚の布



「・・・花月なんだこれは?」



「これはね眼帯だよ いつも十兵衛ったら白いのしか付けてないから・・・」



なにやら怪しげな模様をしている布を持たされた十兵衛はなにやら落ちつかない



「いや・・・しかしこの柄は・・・」



十兵衛は目が見えてないとは思えない



「あ!!これはシドから教えてもらった柄なんだよ気の流れを落ち着かせるんだって!!」



花月は心底うれしそうな顔をしながら続ける



「早速付けてあげる!!」



花月は十兵衛の眼帯を取ろうと手を伸ばす



「自分でできる・・・」



十兵衛は少し赤くなりながら避ける



「いいじゃないか!!こうでもしなきゃ十兵衛付けてくれないでしょ?」



花月は更に近寄り十兵衛に抱きつく



「ッ!!花月!!」



十兵衛の眼帯を花月は取り去る



「・・・はい終わったよ」



「ああ・・すまぬな」



十兵衛がそういったとき急に雨が降り出す



「雨だね・・さっきまで晴れていたのに・・」



「天気は予想がつかぬからな・・・」







ザッ!! ファザアア・・・・





「じゅ・・え・・・・・んとう・・・てきたんだ・・」

声が途切れ途切れになり映像が切れる―――――――――





「・・・まただわ・・・」



朔羅が呟く

ここは廃墟ビルの塊である

さらにロウアータウンの離れとなれば通信ケーブルはむき出しのところがいくつもある

よって雨など降ると不通になってしまうのだ



「・・クス・・残念だね・・まあ直るまで僕に付き合ってみないかい?」



ブチン

何かが朔羅の中で切れる



「小姫筧流布衣術 孔雀!!」



「ガアッ!!」



朔羅の布が鏡の首を絞める 普段の彼ならいとも簡単によけられたはずの攻撃を鏡は食らう



(!? 体が重い?)



「・・・この部屋には神経ガスを流しておいたわ」



朔羅は悪魔のように言うとコンピュータに向かう

部屋の壁が開き太いパイプが現れる



「・・しばらくゴミの中で反省しなさい」



そう言うと朔羅は鏡をパイプの中に放り込む



「私に手を出そうなどと愚かなことを・・・」



一人呟くと朔羅は回線の復帰にかかる



バタバタバタッ

バンッ!!



「どうした!? 何事だ!!」



先ほどの騒ぎを聞きつけた雨流が駆けつけてくる



「なんでもないわ」



普段どおりに にこっと微笑む朔羅



「そ・そうか てっきりなにかあったものかと・・」



「ちょうどよかったわ北棟のD-8ブロックを見回ってきて」



北棟のD-8ブロック――――花月と十兵衛がいる場所に朔羅は見回ってきてとお願いする



「え?でもあそこは離れだし誰もいないし見回る必要は・・・」



「いいから行ってきなさい」



朔羅はほんの少しだけ殺気を出す



「わ・わかったよ・・」



「そう お願いね」



雨流は朔羅に(強制的に)頼まれ出て行く



扉が閉まったそのとき回線が回復したようだ





「綺麗だね十兵衛」



「ああ・・・」



そんな二人の姿が画面に映される



まだまだMAKUBEXが交代するには早い

朔羅のお楽しみの時間は過ぎていくのだった――――――――



Fin




                 ニイシュラード」のビジー中佐様から、相互リンク記念SSを頂きましたv 灰朔×鏡?でございます。
                     凄いです、朔羅☆本家「観察者」鏡んをも凌駕する観察者っぷりにドキドキです・・・!
                     なんだかクロ・・・灰朔羅が好きになってしまいましたよv彼女にはいつまでも強い乙女でいてもらいたいものです、
                     それこそ、鏡や十兵衛やマクベスを・・・・翻弄しつくしてくれるような♪
                     ビジー中佐様の花月がなんとも愛らしく・・・大好きです☆そりゃ朔羅も観察したくなりますって(笑)
                     中佐様、素敵なSSをどうもありがとうございました・・・!



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