◆ 音羽邸裏庭小話〜其の壱〜 ◆


<サイキン、マドカハシドノコトバッカリ>



モーツァルトが遊び仲間に愚痴っている。



<マドカ、シドノコトスキ。イイジャナイ。>



ゴールデン・レトリバーがあまり関心がないように答えた。



<デモ、シドガクルマデ、ボクガイチバンダッタノニ・・・>



<シドモ、タブン、マドカノコトスキ。イイジャナイ。>



と、ブチがボールを噛みながら口を挟んだ。



<タブン?ドウシテ?>



<ダッテ、マドカガシドノコトサワルト、シド、コマッタカオスルヨ。スキ、ノ、キモチ、デテルノニ。>



ボールをレトリバーに放る。



<シドガコマルト、マドカモコマルヨ。ジャア、ボクガ、マドカガシドヲサワラナイヨウニ、ヒッパレバイインダ。>



<ソンナコトヲスレバ、キットマドカニ、キラワレルヨ>



ボールはレトリバーから柴犬に廻された。



<・・・ジャアドウシタラ、マタボクガ、イチバンニナレルノ?>



<バカダナ、オマエ>



柴がボールをセッターに投げる。



<マドカヲシドノホウニ、ヒッパッテイケバイインダヨ。>



バウンドしたボールをキャッチしながらセッターが答えた。



<ソウシタラ、マドカハ、スゴクヨロコンデ、>



ボールはブチの方へ弧を描いて飛んでゆき、



<オマエヲ、タクサンホメテクレル。>



ブチが取り損ねたボールをダックスが器用に掠め取った。



<ナニ、オマエ、シドノコト、キライナノ?>



ダックスが鼻をつかってボールを空高く上げながらモーツァルトに尋ねる。



<?スキダヨ?ドウシテ?>



奇麗なジャンピング・キャッチでボールを捕らえたレトリバーが獲物を銜えながら言った。



<・・・ジャア、イイジャナイ。>



「皆さん、一緒にお昼にしましょう!」



マドカが呼ぶ声がする。隣には士度もいる。



ボールが宙を舞った。



その下を潜り抜けるように、六匹は二人のほうへ一目散に駆けて行った。



Fin.







士度の飲みかけの紅茶をあからさまに嫌がるモーツァルトって、結構イイ性格してますよね(笑)

モーツァルトにとってやっぱりマドカ嬢は一番、士度は・・・恋敵?でもやっぱり士度もスキってことで☆