竜鱗




「・・・ン・・・ッ・・・は・・・・」

マドカの口からは止む事無く水音が溢れ、卑猥にバスルームに響いた。

士度はマドカを見下ろしながら、彼女の長い後れ髪を戯れに弄っている。


チュプ・・・・

「・・・ッ・・・・」


敏感な裏筋を横から軽く加えられ、士度が小さく息を詰めた。
その反応にマドカは眼を細め、
すでに硬く張り詰めている彼の分身の先端をその柔らかな唇でゆっくりと包み込みながら
空いた片手で袋を優しく揉みしだいた。


「・・・っ・・・・ホント、お前も巧くなったよな・・・・」


懸命に彼の象徴に唇を這わすマドカの頬を士度は軽く撫でながら呟いた。
マドカは行為を続けながらも、その秀眉を上げた。


「お前が最初にしてくれたときは、歯が当たってどうなることかと・・・・っ痛ッ――!マドカ・・・・!」


マドカがほんの一瞬、少しだけ歯を立てたのだ。
彼女は士度の抗議もそしらぬ顔で聞き流し、彼の弱い部分を攻め立てていく。


(でも、あれから・・・・一生懸命、覚えたもの・・・・)


いつもは楽器を奏でるその指を、彼女は彼の幹に滑らせた。


(士度さんの・・・・気持ちがイイところとか・・・・)


幹と先端の接合部分を舌でクルリと舐めると、彼の肩が微かに揺れた。


(士度さんが・・・気持ち良くなる方法とか・・・・)


マドカは口に含んだ彼自身を、丸くした唇でキュッ・・・と優しく締め上げると、
その柔らかな唇をゆっくりとロングストロークで上下に動かし始めた。
マドカの頭を撫でていた士度の硬い指先がピクリと跳ねた。


(みんな、あなたが教えてくれて・・・・)


頭上で熱い吐息が漏れたことが、彼が自分の行為で感じていてくれていることが
マドカをさらに夢中にさせた。


(私だけが・・・知っていること・・・)


そう、今日マドカを煩わし続けた香水の主たちは、誰も知らない・・・・。
子供じみた嫉妬心や独占欲だと判っていても・・・それでも
“彼は私だけのもの”
その証を求めるように、マドカは士度を求め続けた。


「ッ・・・マドカ・・・もう、いい・・・・」


士度の手が、クシャリ・・・とマドカの黒髪を掴んだ。
それでもマドカは微かに首を左右に振ると、より深く士度自身を咥内へと導いた。


「マドカ・・・・?」


いつもなら・・・・このまま大人しく自分に身を任せてくる彼女なのに、
今日は最後まで一人でやりきるつもりらしい。
銜えきれない楔を、半分涙目になりながらも懸命に高みへと導こうとするマドカの健気な姿に
士度は微かに胸を打たれる。
僅かな移り香が燈したマドカの激しい嫉妬の灯り。
その熱に巻かれていく己を、士度は感じた。


「・・・ク・・・・ッ・・・・!マドカッ・・・・・!」

「――!!ふっ・・・・あ・・・っ・・・」


士度の低く、短い唸り声と共に、マドカの喉の奥に白濁の粘液が勢いよく流れ込んできた。
マドカは小さく咽ながらも、士度から流れ出た滴を全て飲み干そうと口元に手を当てる。

コクン・・・・とマドカの細い喉が鳴る姿を、士度は火照った体躯を持て余しながら見下ろしていた。
口元に僅かに残った雫が、彼女の貌を彩る花弁を卑猥に飾った。
それでも、どこまでも美しく、健気な彼女。
自分とは対象的なその細すぎる白い痩躯を抱きしめたい衝動に士度は駆られる。
するとマドカは再び士度自身へと手を伸ばし、残滓をキレイにしようと先端へゆっくりと舌を這わした。
あぁ、こんなことをされ続けては、この身体の火照りはいつまでたっても納まりそうに無い・・・・。
いつになく執着するように舌と唇を使う妻の頤を、士度は優しく持ち上げた。


「マドカ・・・もう、いいから・・・・」


不思議そうな顔をしながらこちらを見上げてきたマドカを、士度は抱き上げるようにして立たせ、
そっと自分の方へ引き寄せた。
白い肢体は素直に士度の逞しい腕の中に納まった。
露になった乳房が士度の胸元に擦れる。
先程洗い流したマリーゴールドの石鹸の香りが、彼女の躰から仄かに薫った。
士度が彼女の背を労わるように撫でてやると、
マドカがおずおずと、問いかけるように士度を見上げてきた。


「ん・・・?あ、ああ・・・気持ちよかったぜ・・・?」


マドカの顔が綻び、その細い腕を士度の首筋に伸ばしてくる。
幾つになっても相変わらず愛らしいその仕草は、士度の心を絆した。
士度は彼女を引き寄せ、望まれるがままにその柔らかな唇に口付けを落とす。
士度の長い指がマドカの白い躰を渡るように這い、時折彼女の敏感な胸の頂を抓ると、
唾液で濡れたマドカの口から小さな喘ぎ声が漏れた。
士度の器用な指先は、そんな彼女の声をさらに引き出そうと、より感じ易い処に辿り着く。


「――んッ!!し、士度さん・・・!」


士度の指が既に濡れそぼっているマドカの花片をなぞり、わざと音を立てるように愛液を掬った。

クチュ・・・という淫音がマドカ耳を犯す。


「すげぇな・・・・触ってもいないのに、こんなに溢れて・・・」


そう言いながら士度はマドカの花孔に指を潜り込ませた。


「ヤ・・・!ふぁ・・・」


「俺のを咥えただけで・・・感じたのか・・・・?」


腰を擦られ、中を掻き回されながら、耳元で彼のビロードのような声でそう囁やかれた。
指と、声に犯され、マドカの躰は快楽に震える。


「マドカ・・・?」


彼女から答えを引き出そうとするかのように、士度の指がマドカの敏感な部分を強く擦った。
マドカは声に鳴らない悲鳴を上げながらも、必死にコクコクと頷く。


「いい子だ・・・」


すっかり起ちあがってしまっている彼女の胸の飾りを口に含みながら士度は続ける。


「マドカ・・・・お前はいくら嫉妬したっていいから・・・・」


――その怒りの矛先をいくらでも俺に向ければいい・・・ただ・・・――


士度の言葉にマドカが目を瞠ると、カリッ・・・と士度は彼女の乳首に歯を立てた。


「やぁ・・・!」


彼女の背が奇麗に撓むと同時に、士度は彼女の中心に含ませている指をバラバラに動かし、彼女からさらなる愛露を引き出す。


「俺に嫉妬は・・・・させるなよ・・・・?」


士度が低く呟いた声に、マドカの目が見開かれた。


「なぁ・・・マドカ・・・?」


そう言いながら彼女の顔を覗き込んでくる士度の気配に、マドカは暝い独占欲を感じた。
それは男の勝手な言い分・・・・けれどそんな言葉にすら恍惚とさせられてしまうくらい、
マドカの心は疾うの昔に染め上げられていた。
自分が、士度かれのものであることを知らしめてくれる言葉・・・
その音がマドカの身も心も熔かして往く。

マドカは士度の頬に手を伸ばした。


「士度さんが・・・・」


彼の貌のひとつひとつを確かめるように、マドカの白指が士度の顔を舞った。


「士度さんの香りを・・・・刻み込んでくれればいいんですよ・・・・この私に・・・・」


――ずっと、ずっと・・・いつまでも・・・・――


そしてマドカはそっと彼を引き寄せ、その唇を甘く咬んだ。
スルリ・・・・と彼の舌がマドカの咥内に入り込み、味わうような長い接吻がマドカを潤す。


――そうすれば私はいつも・・・・――


上と下からの愛撫の音がマドカの躰の熱を更に煽った。


「あなたに、酔っていられるから・・・・」


士度の眼が細まった。
その瞳は、大きく身を震わす美しい花の化身を映していた。













「――ん・・・・っ!!」


身を穿たれたまま士度から口移しでブランデーを再び流し込まれ、マドカの躰が乱れたシーツの波の中で小刻みに揺れた。
士度の舌は一度ペロリと彼女の唇を舐めると、そのままなだらかな首筋に朱印を落とし、
彼女に甘美な痛みを施した。


「う・・・・っ・・・ン・・・ァ・・・」


奥芯に納まる彼自身の熱と、アルコールの熱が絡み合ってマドカを襲い、
彼の汗の匂いと肌の温もりがその心を満たしていた。
そして彼の人は彼女に更なる快楽を与えるため、再び動き始めた。


「あっ・・・はぁッ・・・んんッ・・・・!」


乳房を揉まれ、秘芽を刺激され、熱に犯され・・・
琥珀の馨りに眩暈を感じながら彼に助けを求めるように両の腕を伸ばすと、
彼との繋がりがより深くなり、マドカは士度の背を掻き抱いた。


「ダメ・・・士度、さんッ・・・・もう・・・・ダメぇ・・・・っ!」


首を打ち振り悦楽の涙を流しながら訴えてくるマドカの耳朶を緩く咬みながら士度は囁く。


「いいぜ・・・イケよ、マドカ・・・・」


その揺れる細腰を更に引き寄せながら、士度は彼女の膝裏に手をあてると、その脚を更に押し上げた。


「や・・・・ア・・・!」


快楽と恥じらいの甘い叫びを刻む紅色の花弁を士度は啄ばみながら、彼女の熱を煽ることを止めようとはしない。


「ほら・・・・俺が、見ててやるから・・・・」


「やぁッ・・・!見ないでッ・・・・あっ・・・!」


羞恥を誘う士度の台詞にマドカが抗議の声を上げたとき、剥かれた淫核を強く擦られ、
彼の化身に最奥を突かれた。


「――ッ!!ああッ・・・・!」


桃色に染まった白い躰がシーツの上で大きく跳ねると、彼女の痩躯を強く抱きしめながら士度も低い唸り声を上げた。
身の内を叩く飛沫と余韻に身を震わされながらも、躰の中で溶け合う熱が愛しくて仕方がない。

マドカは汗で濡れた士度の肩に甘えるように頬擦りをした。
乱れた髪をその長い指で優しく梳いてくれる感触にマドカはより深い喜びに満たされる。

士度はマドカの額にキスをすると、身を起こし、己を彼女の熟れた花孔から引き抜いた。
コポリ・・・・と小さな音を立てながら白液がその蜜口から零れ落ちる。


「ふぁ・・・ン・・・」


離れていくときの切ない感触にマドカが小さく啼いた。

汗と体液に塗れながらも尚美しくナイトランプに浮かび上がる彼女の姿は、士度の情欲を再び誘う。


「お前、綺麗だな・・・・」


熱を孕んだ彼女の柔肌に惹かれるように手を這わしながらポツリと漏れた士度の言葉に
マドカの顔が欣幸に染まる。


「もっと・・・・酔わせて・・・・」


そして、愛しいひとに蕩けさせられた瞳を瞬かせながら
マドカは恍恍とした表情で両手を差し伸べてきた。


酔わされたのはブランデーにか、芳甘の行為にか・・・・


士度は彼女の媚態に眼を奪われながら琥珀色の液体をもう一度口に含むと、
誘いの言葉を発した可憐な唇に己の唇を合わせた。
ブランデーの仄かな苦味がマドカの口腔を満たし、絡まる舌と唾液が彼女の精神こころを陶然とさせる。
彼女の口角から零れ落ちた雫が、シーツに小さな染みをつくった。

ベッドが軋み、マドカの足がピクリと震えながらシーツを掻いた。



その夜二人は永遠に醒めない酔いにいつまでもその身を浸していた。

一輪の白薔薇だけがライトに揺れる二人の影をひっそりと見つめていた。









Fin.






“竜鱗”=金・銀・宝玉・波・雪などの煌く様。

UMI様への献上品、“Dragon's rage”裏versionでした。
「激しい嫉妬気味の激しいH」というリクエストに果たして応えられているでしょうか;
冒頭の行為、士度はこういったことは自分からは教えなさそうですが、
マドカ嬢はいったいどこから知識を仕入れてきたのでしょう・・・?
ブランデー、ロックだとアルコール度数30%オーバー、うちのマドカ嬢にはよく効きます。
今回は相乗効果もあったようですが・・・・。
二人が“酔った”“香り”はいくつあるでしょう・・・?
UMI様、書き応えがあるリクエストをどうもありがとうございました…!
日頃の御礼も込めて、僭越ながら献上させていただきます。
そして、またの挑戦をお待ちいたしておりますv