−切番小説−


「もっと足を大きく開いて見せてくれ・・・」


「・・・・っ」


ベッドの向こう側から聞こえる士度の静かな声に身を震わせながら、

マドカはオズオズとその小鹿のように細い足を開いた。


― 彼は怒っている ―


ソファに身を預けて彼女を観察している士度の視線と纏う空気から、マドカはそう感じた。

これ以上彼の逆鱗に触れないようにマドカは、放っておけばそのまま閉じてしまいそうな腿に力を入れる。

小さな足がシーツを掻きながら震えた。

その最奥でゆるやかに蠢くのは、手のひらサイズの大人の玩具。

モーターの小さな音と、ソレ、が愛液を掻き回す卑猥な音がマドカの耳を犯す。

マドカの両手は後ろ手に、柔らかなタオルで緩く拘束されていた。

柔軟な拘束具のお陰で、大事な手首は傷つけられることはないが、

どのように結んだのが、マドカがどんなに力を入れてもその戒めは解けなかった。

ジワリ、と身の内側から快楽の疼きが、そのしなやかな背に這い上がってくる。

マドカはこれから訪れようとする未知なる感覚に恐怖する。

どうして、こんなことになったのか―

マドカはいつも頼りになる姉貴分の屈託の無い笑顔を思い出した。

彼女の親切心が今回の、このような異常な状況を生み出したと言ってもよい。


(・・・・ヘヴンさんの、馬鹿!!)


マドカは心の中で、(彼女としては本当に珍しく)その優しい友人に対して八つ当たり紛いの悪態を吐いた。

ことの発端は四日前・・・







バイオリンの弦を買いに一人で出掛けた帰り、マドカはたまたまヘヴンとバッタリ会い、

そのまま一緒に近くの小洒落たカフェで一息つくことにした。

お互いの近状を何気なく話題にした後、いつも彼女が聞いてくるのは士度絡みのY談。

マドカも毎回、いかに開放的なヘヴンの前とはいえ、自分と士度との営みを話すのは恥ずかしいが

それでも性の知識に乏しい自分の相談相手にもなってくれているヘヴンの好奇心半分の心遣いに、

内心感謝の念もある。だからこの日も、マドカは最近密かに胸に抱いていた悩みを、ヘヴンに打ち明けた。


「・・・・あの、士度さん、私に満足してくれているのかな、って・・・・」


「ハァ!?」


小声で呟いたマドカに、ヘヴンは思わず素っ頓狂な声をあげた。

あれだけ惚れ込まれていて、何を言っているのだ、この娘は。


「あの!・・・・その、夜の・・・お話なんですけれど・・・」


マドカはますます小さくなる。

彼女が言うことには、いつも自分は情事の後動けなくなるくらいの快楽を与えられているのに、

彼はいつも事が済んでも疲れた様子一つ見せない。

もちろん、不満な表情を見せたわけではないが、彼が自分と交わることによって、

同じくらいの快楽を得ているのかが分からない・・・というわけだ。


「・・・・だって、いつも、あの、終ったあと、ケロリとしているんです。
私はもう立ち上がれないくらい・・・その・・・・なのに・・・」


士度さんは私のことを気持ちよくしてくれる・・・でも私は士度さんのことを・・・

改めてそう思うと、自分は果たして士度にとって気持ちの良いことをしてあげているのか、

どうしたらそうしてあげられるのかが分からなくなった、とマドカは訴えた。


「いや・・・彼は十分に満足していると思うけど・・・」


単に体力の差だろう、とヘヴンは思う。

もし士度が疲れるまで事に及んだら、それこそマドカにとって危険だ。

でも・・・・この初々しい悩みに打開策を、そして新たな世界をこの少女に教えてあげるのもいいかもしれない、

・・・というか楽しいわ。

ヘヴンは悪戯っ子のような無邪気な微笑をマドカに向けると、

明日、イイモノをプレゼントしてア・ゲ・ルvと彼女の耳に囁いたのだった・・・。



そして翌日、ヘヴンが音羽邸に持ってきたものとは・・・・


「・・・・これ、は・・・何ですか?」


蓋がついていない籐のバスケットの中に鎮座する、綺麗にラッピングされたプレゼントを取り出してみる。

・・・掌に納まるくらいの、玩具?

化粧品の瓶がいくつか・・・それに何かのパックと・・・クスリの瓶?


「フフフ・・・一人Hセットよん♪」


「〜〜!!要りません!!」


場は穏やかな西日が差し込むティールーム。

使用人たちに聞かれるような大声をかろうじて出さなかったマドカは、

慌ててそのバスケットをヘヴンの方へ突返した。


「まぁまぁ、慌てないの、マドカちゃん。これってとても大事な事よ。」


至極真面目にヘヴンは言う。


「・・・・そう、なんですか?」


それでもマドカはまだ懐疑的だ。


「そうよ。自分で快楽を引き出すことによって、自分の身体を知ること。
そしてそうすることが、彼を自分から快楽へ誘う手助けにもなるのよ。
たとえば、ホラ、これで遊んでいると、アソコの締りが良くなって・・・・」


延々と一時間半、ヘヴンの一人H講義は続き、知らず知らずのうちにマドカは真剣にそれに聞き入ってしまった。

そしてヘヴンがご機嫌に手を振りながら帰った後、残されたのは、あの、可愛らしい籐の籠。

マドカは迷いに迷ったあげく、結局その透明セロファンでラッピングされた籠を

自室の洗面所の上段の戸棚の奥の方に、他の洗面用具のストックに隠すように押し込んだ。

使い方は教わったけれど、一人でだってしないわけではないけれど、

でも道具やクスリを使うのはまだ何だか怖くて。

士度さんに相談してみようかとも思ったけれど、淫らな女だと思われてしまうかもしれないと考えると、それも決心がつかず。

きっと、今のヘヴンさんくらいの年齢になったら使ってみたくなるものだ、そう単純にマドカは思っていた。


そして三日後・・・・



自室の洗面所で髭を剃っていた士度は、剃刀の刃が鈍くなっていることに気がついた。

髭など普段は夜に剃ることはないのだが、今夜は気になってなんとなく。

そして、メイドの一人が、剃刀のストックを洗面所の上段の棚に置いておいた、と言っていたのを思い出す。

士度は言われた場所を確認してみるが、目的の物はそこには・・・無い。

昨日、そう士度に声をかけたメイドの顔を思い起こしてみると・・・あぁ、あの一番若い、そばかすの・・・・。

彼女は時々、思いがけないミスをする。それはまだどれも、大事には至らないようなものだが、あの調子で行くと・・・・。

・・・・今回の剃刀は恐らくマドカの部屋の洗面所にでも置いてしまったのだろう。

マドカの為にもそれは早めに取りに行ったほうがよさそうだ。

士度は切味の悪い剃刀で何とかサッパリさせると、顔を洗った後、マドカの部屋へ足を運んだ。


彼女の部屋の前で軽くノックをし、俺だ、と言えば、どうぞ、と愛らしい声が返ってきた。

部屋へ入ると、マドカはベッドに腰掛けて点字の本を読んでいたようだ。


「どうしたんですか?」


マドカが小首を傾げて聞いてくる。


「いや、剃刀の替えが恐らく間違ってこっちにきてると思ってよ・・・」


言いながら士度はそのまま勝手知ったるマドカの部屋の洗面所へと入って行った。


「そうですか。」


と、最初マドカも大して気にはとめなかったが、

ガチャリ、と士度が上段の扉を開ける音がしたとき、マドカは急に本を放り出して、思い出したようにベッドから飛び降りた。


「待って下さい!士度さん!」


「あ?」


士度は長い腕をもって戸棚の中を探りながらマドカの方を振り向いた。

すると、カサリ、と指先に触れるものがある。


「・・・何だ?」


洗面所に場違いな感触とその塊の大きさに興味を引かれ、士度はもう一度戸棚に眼を戻すと

ラッピングされた籠を取り出してみた。


「・・・・・」


見慣れぬソレらは、それでも何の目的に使うものかは士度にも十分に理解できるもので・・・・。


視線をマドカの方へ向けてみると、彼女は顔面蒼白になって立ち尽くしている。


「あの、それは・・・・」


説明しようとしても、マドカの頭はすっかりパニック状態。何を言っていいのかすら分からない。


「・・・・大方、仲介屋にでもプレゼントされたんだろう。」


可愛らしいラッピングと、“マドカちゃんへv”と蝋で浮き上がった字で書かれたメッセージカードを見て、士度は判断した。

猥談好きの彼女のこと、これくらいしても不思議はない。

話が早い士度の言葉に内心マドカはホッと一息を吐く。

しかし・・・


「ようするに、アレか。最近俺とスルことに満足出来ていないってことか?」


思いがけない言葉が士度から返ってきて、マドカの足は竦んだ。


「違ッ!!」


マドカが否定の言葉を紡ぐ前に、急に腰を掴まれ、そのまま軽々と持ち上げられる。

そしてあっという間にベッドの上に転がされてしまった。

そのままパジャマに手をかけ、マドカの白い肌を露にしていく士度に、マドカは常に無い冷たさを感じる。


「!!・・・士度、さん、違うんで・・・・」


「まぁ、何にせよ・・・・」


士度の声がマドカの言葉を遮る。


「せっかく貰ったものだ、使って感想を言わなきゃダメだろう?」


― 試してみろよ ―


士度の静かな声が、マドカを再び竦みあがらせた。





そしてそのまま、士度は籠に入ってあったローションを適当に選び、マドカの秘部にたっぷりと塗り込め、

その小さなピンク色の玩具を彼女の入り口に捻じ込んだ。


「――!!」


ローションの滑りを借りてか、ソレは何の抵抗も無くマドカの中に固定される。

当のマドカはあまりにも急な士度の行為に、ショックで言葉もでない。

異物感に身を捩る彼女の手を取ると、士度は自分の首にかけてあったタオルを使って彼女の両手を後ろ手に縛り上げる。

怯え、暗闇にも映える白い肢体を震わすマドカの姿に、何時にない嗜虐心が士度の心を疼かせる。

彼女の細い手首を拘束し終わると、ベッドサイドのランプで彼女を照らし、

縋るように自分を見上げてくる彼女を一人ベッドに放置する。

そして士度は籠の中に入っていた玩具のリモコンを手にすると、

ベッドの真向かいにあるソファに腰を落とした――。








スイッチを入れられてから数分、ソレは緩慢にマドカの内側でうねり続ける。

そのうねりに合わせるようにマドカの肉芽を刺激する玩具にマドカは翻弄され続け、快楽に震える。

彼女の白い肌は徐々に桃色に染まり、その大腿をツッと汗が伝う。

震えながらも、言われるがままに開かれた足の中心と腹部は灯りに照らされて、伝う愛液と汗が煌いていた。

士度は、マドカに足を開くように言ってから後は、一言も言葉を発しない。

ただ、彼の冷たい視線だけが、マドカの心を犯し続ける。

彼にこの行為を止める様懇願する為にマドカが口を開こうとしたその時――

ドクリ、とマドカの鼓動が跳ね上がり、おぞましい程の快楽の波がマドカを襲った。

枕に顔を伏せ、思わず悲鳴を上げるマドカに士度の、どうした?という声が聞こえる。


「・・・・身体、が変・・・なん、です・・・ッ!!」


下肢から這い上がってくる疼きにひっきりなしに身を捩らせながら、マドカは訴えた。

士度は答えない。

秘部が熱く、焼けるようだ。そして揺れる玩具がその火傷を抉るよう・・・


「あッ!!もう・・・ダメッ!」


感じる部分を玩具によって刺激され続け、理性が飛びそうなり、マドカはソレを挟み込むように思わず足を閉じてしまう。

そして腰を振ることで、その玩具を身から離そうとするが、燃えるような感覚をその痩躯全体に撒き散らしている蕾は、

逆にそれを離すまいと噛み締めてしまっている。

ふいに、中で蠢くソレの速度が加速して、肉芽に与えられたその振動にマドカは身悶えた。


「あっ・・・や、ァン・・・何っ・・・!!」


「・・・気持ちいいのか?」


カチリ、と、リモコンでその動きの速度を上げた士度が、そ知らぬ顔で聞いてくる。


「違ッ・・・ァアッ!!士、度さんッ・・・も、う・・・!!」


眩暈がするほどの感覚に、マドカの背が大きく撓り、胸に色づく桃色の飾りが天を仰いだ。

止むことの無い強い刺激は、情欲の波を畳み掛けるようにマドカの性感帯に流し込んでくるが、

もうとっく手放したいと思っているマドカの意識を、底の方で渦巻く苦痛でもって繋ぎ止めている。


「いやぁっ・・・もう、お願いッ!!」


後ろ手に縛られながらマドカは震える足で膝立ちになり、波打つ長い黒髪を振り乱しながら士度に懇願した。

カチリ・・・・士度の長い指が再び戯れに動いて、その玩具は更に早いスピードでうなり始めた。


「――ああッ・・・!!」


異物に抉られる感覚と、ローションに含まれていたであろう媚薬の相乗効果で、マドカの身体を奔る過ぎた快楽は限界に達していた。


「やっ・・・苦し、ぃ・・・士度さんッ!」


身体を駆け巡る禍々しい波から逃れようとマドカは身を縮こまらせ、

そして救いを求めるかのように彼の人の名前を呼んだ。

士度がゆっくりとソファから立ち上がる気配がする。


「士度ッ・・・さん!あッ・・・!」


士度はベッドへ乗り上げるとマドカを引き寄せ、その首筋に歯を立てた。

そして閉じたマドカの両足を再び大きく広げ、小さなモーター音を上げ震えるそれを彼女の蜜口にさらに捻じ込む。

見えない彼女の眼が大きく見開かれ、声にならない悲鳴が空気と一緒にその薄紅に染まった唇から洩れた。


「も、う・・・嫌ァッ!!」


士度の腕の中で激しく身悶えながら、とうとうマドカは泣き出してしまった。


「ど・・・して・・・士度、さん・・・いつもはあんなに・・・ッ!!優、しい・・・のに・・・」


上昇する熱に翻弄され、両の手を縛られている為にいつものように彼の首筋に縋れないもどかしさを士度に身を摺り寄せることで訴える彼女の頬に、

士度はそっと手を寄せた。

マドカの熱い涙が、士度の手を濡らし、彼女はその手に頬を押し付けてくる。


「意地悪・・・しないで、くだ・・・さい・・・」


その彼女の震える声が、士度の黒く塒を巻いていた心をゆっくりと氷解させた。


「・・・そうだな、悪戯が過ぎたようだ。」


そう言うと士度は彼女の蜜口にあった玩具を徐に引き抜き、後ろへ放り投げた。

ポスン、とマドカを苦しめていた物は、ソファの上に落ちたようだ。


「?!」


グチュリと耳を塞ぎたくなるような音を立てた後、急に空虚になった下肢にマドカの身体は一度大きく痙攣する。

彼女の花弁の中心からは、トロリ、と溜まっていた愛液が流れ出て、汗に濡れたシーツにさらなる染みを作った。

そして、すっかり勃ち上がっているマドカの形の良い胸の突起を、士度が舌先で軽く押し戻すように愛撫する度に、

マドカは苦しい息の中を更に喘がされた。

マドカが小さな頭を振って嫌々をすると、

士度は彼女の耳元に口付けを落としながら低く訊いてきた。


「どうして欲しいんだ・・・?マドカ。」


そして、パラリ、と彼女の手首の戒めを解いた。


「・・・ッ!お願いっ…−−−早くっ …れてっ…!」


その両手の拘束が解けるやいなや、マドカは両の腕を伸ばして士度に縋りついた。

士度は噛み付くような荒々しいキスをマドカに与え、彼女の舌を嬲ると、

その痩躯を持ち上げて素早くうつ伏せにした。


「士、度さ・・・・!!」


そして彼女が自分の名を呼び終わる前に、その秘径に己の分身を突き入れた。


「アッ ああっ…アッ!」


内側の後壁を摩擦する角度で深く挿入され、自然とマドカの内壁は士度を締め上げる。


「・・・・!!クッ!」


先ほど散々玩具によって弄ばれたせいか、何時にない彼女の締めつけに、士度も思わず息を漏らした。

両手で彼女の腰を押さえつけ、ゆっくりと強弱をつけながら士度は動く。


「ンンッ・・・!」



いつもより深い結合に感じているのか、士度の動きに合わせるようにマドカの細腰も彼を誘うように揺れた。


「はっ・・・ア・・・・あっ!!」


深く、浅く挿入される度に、痺れるような感覚がそのしなやかな背を這い上がり、

性感帯の一つである背骨の両脇を舌と指先で嬲られると、唾液で衒った唇から思わず嬌声が上がった。


「あっ・・・・アッ・・・!」


マドカが大きく身を反らせた瞬間、露になった乳房を絞るように掴み上げられ、

士度は彼女の小顔を覗き込むようにキスをしてきた。


「ヤッ・・・!・・・ン・・・」


欲望を助長させるような胸の痛みに翻弄されながらも、マドカは士度の唾液と舌先を求めながら、

こんなに残酷に弄ばれ、こんなに乱暴に求められても、

それでも彼を――愛しい――と思う自分の気持ちに狂気染みた喜びを感じていた。

そして士度の手が下肢に延び、彼女の勃ち上がった肉芽を擦るように刺激しながら、濡れそぼったマドカの腰を自身に落とした。


「・・・・ッ!マドカッ!」


「ああッ・・・・――!!」


彼の、唸るように自分を呼ぶ声を遠くで聞きながら、マドカはようやく意識を手放すことを許された。

その記憶が途切れる瞬間、身の内に広がる彼の暖かさと、

きつく自分を抱きしめ、額に口付けを落とす彼の気配がどうしようもなく心地よかった。








「・・・ン。」


目覚めると、自分はパジャマを着ていて、サッパリと糊の効いたシーツの中に横たわっていた。

雀が囀るいつもの朝、いつもの自室の空気、いつもの自分。

手首だって、ほら、何とも無い。

昨日のアレは、ヘヴンがくれたプレゼントのせいで見た、一睡の夢だったのかと

寝惚けた頭で思いながら身を起こした時に、腹部に鈍痛が走った。


「痛ッ・・・・」


ジワリ、と昨日の狂おしい感覚がマドカの身体にフィードバックする。


「あ・・・・」


彼の形が、まだ身の内にあるような感触に見舞われて、マドカは一人赤面した。

この部屋にいる気配が無い彼を少し恨めしく思った瞬間、

カチャリ、と部屋のドアが開き、士度が中へ入ってきた。


「お、目が覚めたか。」


手には朝食が乗ったトレイを持っているらしい。

ほら、いつもの彼、いつもの声、いつもの気配。

マドカはベッドヘッドに背を預けたまま、無言で両の腕
(かいな)を士度の方へ差し伸べた。

そんなマドカに士度は優しい視線を投げかけ、トレイをサイドテーブルに置くと、

ベッドに腰をかけて愛しい彼女を抱きしめてやる。

子猫が甘えるように身を摺り寄せてくる彼女の背を優しく撫でながら、


「昨日は苛めすぎちまったな。」


と、ポツリと呟いた。


「あの・・・・士度さん、気持ちよかったですか?」


おずおずと上目遣いに訊いてくるマドカの唐突な質問に、士度は面食らいながらも

そりゃ、もちろん・・・と小声で答える。


すると士度の予想に反して、パッとマドカの顔が明るくなった。


「・・・・よかった。だって、何だかいっつも私ばっかり気持ちが良い思いをさせてもらっているみたいで・・・。
ああいうモノを使って訓練すれば、士度さんをもっと喜ばせることが出来るってヘヴンさんが言ったから・・・・」


「!?ちょっと待て、マドカ。それじゃまるで俺が、いつも満足していないように聞こえるぞ。」


ギョッとしながら士度は慌ててマドカに訊ねた。

俺が昨夜少し頭にきたのは、逆だったからじゃないのか?


「え・・・?違うんですか?」


「・・・・何でそーなるんだ・・・・。」


士度はすっかり肩を落としてしまっていた。

俺にここまで求めさせておいて、コイツはそんなことを思っていたとは・・・。


「・・・・だって、私がどんなに疲れるくらい気持ちよくなっても、士度さん、いつもケロッとしているんですもの・・・」


毎回、士度さんは全然足りないみたいです・・・とマドカは申し訳なさそうに呟いた。


「・・・・そりゃぁ、俺が疲れるまでお前と・・・その、シてたら・・・マドカのこと、壊しちまうからな。」


それなりにセーブしてるんだよ、と士度は苦笑しながら答える。


「・・・・私、士度さんになら壊されたって・・・・」


「それは俺が困る。」


マドカの物騒な発言を士度が遮った。


「変な心配するなよ・・・お前だけだぜ、」


士度はマドカの髪をクルクルと指で弄びながら、彼女の唇に触れるだけのキスを落とした。

そして見上げてくる彼女に囁く。


― 俺をここまで夢中にさせる女は ―


マドカの頬がサッと桃色に染まった。

そして、その胸に降りてきた幸せをかみ締めるように微笑むと、

その愛しい人にもう一度、おはようのキスをねだった―。




数日後、ヘヴンがプレゼントの感想をマドカからどのように聞いたのかは、
また別のお話。





Fin.



“拘絆”〜コウハン〜と読みます。意味は“拘繋・拘縛”と同じで−つかまえて、つないでおく−。

HN内村京介様、月窟500Hitのキリリクどうもありがとうございましたv
突発的な鬼畜士度、いかがだったでしょうか?
エロ過ぎたら済みません・・・・エロが足りなくても申し訳ないです;
苛められるマドカを嬉々として書いていた私も十分鬼畜さんです・・・・。
こんなSSでしたが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです♪
それでは、今回は多謝でございました!
これからも宜しくお願い致しますv