![]()
隣の浴室から、シャワーの音が聞こえる−
少しの気だるさと、大きな充足感に身を浸しながら、マドカはその音に聞き入った。
−士度さんの感触がまだ、身体の中から消えていない−
そのことが何だか嬉しくて、マドカは自分を抱きしめるようにして士度の香りが残るシーツに包まった。
久しぶりの交わりは身体には少し負担だったようだが、心は満たされていた。
彼の少し荒い息遣いや汗の匂い、身体を滑る愛撫や蕩けるような熱い口付け…。
士度はマドカが待ち侘びていたものを全て与え、マドカは夢中でそれを受け止めた。
彼から伝わる早い鼓動が、自分と同じように感じていることを教えてくれた。
つい先ほどまで行われていた情事のことを反芻すると、心に再び熱い火が灯る。
そして、あのひと時が終ってしまったことを残念に思っている自分がいる。
そんな浅ましさを恥ずかしく思いながら、マドカはシーツを頭まで被った。
−このまま、この香りに包まれて眠ってしまったほうがよさそう…−
そう思いながら、ベッドの中で寝返りを打つと、シーツの上から肩に触れられ、
頭上から士度の声がした。
「ほら、シーツ換えるからその間にシャワー浴びてこい…」
士度のテノールに導かれて、マドカはシーツの間からそろそろと顔を出し、身を起こす。
そんなマドカの頬を士度は左手で優しく撫で、そのまま寝たら夏の夜には寝苦しいだろう、
と、マドカの身体をシャワー室の方へ向けた。
−はい…−と答えたマドカの身体はしかし、ベッドから少し離れたところにあるソファに向かった。
そしてマドカは身体にシーツを巻きつけたまま少し堅いソファに身を沈める。
新しいシーツをベッドに広げながら、士度が僅かに苦笑したようだ。
−だって今日はあなたの余韻に浸ったまま眠りたいんですもの−
マドカは自分の、幼さが残る行動に対する言い訳のように心の中で呟いた。
すると、いつの間にか士度がソファの前までやってきて、マドカの顔を覗き込んだ。
それに気が付いたマドカが顔を上げると、士度はその唇に触れるだけのキスをして、
笑みを漏らしながら言った。
「何だ、まだ足りなかったのか?」
思いがけず図星を突かれたマドカは、真っ赤になって反論する。
「ち、違います!今日はちょっと疲れただけです!!」
そうかそうか、と言う士度は心底楽しそうだ。
頬を染めながら士度を睨み付けると、ふいにフワリ、と身体が浮いた。
纏っていたシーツがはらりと床に落ちる。
「ちょッ、ちょっと!士度さん!」
マドカの抗議の声もどこ吹く風、このままだと明日辛れぇぞ、と士度が抱き上げたのだ。
「下ろしてください!」
急に全裸になった自分が恥ずかしくて、士度の上でマドカが暴れる。
どうせ風呂場で脱ぐんだから同じだろ、とあやす様に士度は言った。
「疲れてるんなら手伝ってやるからさ。」
その言葉にマドカは固まる。そしてその頬はさらに真っ赤に染まった。
ガチャリ、と士度は片手で起用にバスルームのドアを開け、半ば呆然としたマドカをタイルの上に立たせ、
自分も手早く衣服を脱ぎ、シャワーのコックを捻った。
勢いよく流れ出たシャワーのお湯が心地よい、とマドカが思った瞬間、
マドカは士度によってあっという間に壁際へ追いやられ、その両手を壁に押し付けるようにして両サイドから固定された。
士度の顔がマドカの目線まで降りてくる。そして唇で耳を弄りながらこう囁いた。
「先に身体を洗うか?それとも−」
耳元にかかる吐息と言葉にマドカはビクリと身を竦ませる。
すると、士度の右手が降りてきて、マドカの太股の最奥に指を潜り込ませた。
「ッ!ヤァ!」
急な刺激に悲鳴を上げるマドカの声を無視して、士度は薄い茂みの奥で指を往復させる。
「なんだ、もう濡れてんじゃねぇか…」
そこは、水滴とは明らかに違った滑りですでに潤っていた。
そんなに欲しかったのか?と笑いを含みながら問いかける士度のさらなる言葉を遮る様に、
マドカは身を震わせながら口付けをねだった。
すると、士度はマドカの腰を空いていた左手で掬い上げ、彼女の両足を自分の左太股で支えてマドカの身体を浮かせ、
お互いの目線を同じ高さにした。
そして噛み付くようなキスを降らせた−
歯列を割り、舌を差込み、マドカの口内を思う存分蹂躙する−マドカもたどたどしくもそれに答え、お互いの舌が絡み合う。
下肢からはグチュグチュと卑猥な音が聞こえてきて、じれったい快感とともにマドカの耳を犯した。
不意に、右手の親指が意図的にカリッとマドカの肉芽を引っ掻いた。
そこからもたらされた痺れる様な刺激に導かれた悲鳴は、声にならず士度に飲み込まれる。
大きくのけぞった背中は、逞しい腕に支えられていた。
−唾液すらもすでにどちらのものか分からなくなるほどの深く長い接吻を終えると、
士度は徐にマドカの胸の突起を口に含みじっくりと嬲った。
新たなる刺激に身を竦ませながらも、マドカは恍惚とした表情でシャワーの滝に打たれながら一心に快楽を貪っていた。
マドカの胸元に花弁を散らせた士度の唇が、白い肌のところどころに所有の印を落としながら徐々に下の方に降りてくる。
やや小振りで愛らしい胸を上下させながらマドカが息を弾ませていると、左足が持ち上げられ、士度の肩に掛けられた。
士度の顔の位置からして、自分の秘部が士度の目の前に余すことなく晒されていることに気が付いて、
マドカは恥ずかしさのあまり眩暈がした。
しかし、マドカが抗議の声をあげる前に、何の躊躇いもなくそこに士度の舌が這わされた。
「やぁ!!」
士度は左手で花弁の奥をこじ開けながら、クチュクチュとその秘部を丹念に舐め上げる。
「あ・・・・ヤ・・・・ァ・・・・」
花の奥からは蜜が止まることを知らぬかのようにあふれ出し、士度の唇とマドカの太股を濡らした。
その身体は小刻みに震え、過ぎた快楽のために、マドカの目からは止め処なく涙が流れていたが、
それも上から降ってくるシャワーと一緒に洗い流される。
「…士度さん、私、もう−−」
目を瞑り、激しく胸を上下させながら、マドカは士度に限界を訴える。
「・・・あぁ、イケよ。」
上目でマドカの表情を確認しながら答えるや否や、士度は敏感に立ち上がったマドカの肉芽を何の前触れもなく吸い上げた。
「ヤ!!アアアッ!!」
予想外の強い刺激に、マドカは大きく痙攣をして絶頂を向かえ、意識を失った−
−どのくらい気を失っていたのだろう、自分はまだシャワーに打たれていた。
士度の厚い胸板に身を支えられているのを感じた。
まだボンヤリとした意識の中、士度を見上げると、思いがけない言葉が振ってきた。
「ダメだぜ、マドカ…まだ終わりじゃない。」
−え?−とマドカが士度に問うよりも先に、マドカの左足が再び抱え上げられ、
士度の猛った楔が花の中心に打ち込まれた。
「!!ッアァ−−!!」
急に訪れたあまりの衝撃に、マドカの背中は大きく撓った。
士度は難なくそれを支えると、マドカを激しく突き上げ、抽入を開始した。
「イ…ヤァ!!ッ待って…士度さッ!激し…過ぎる…!!」
身悶え懇願するマドカの首筋を、士度は返事の代わりと言わんばかりに強く吸い上げた。
チリッとした痛みにマドカはビクリと反応し、瞬間、その暖かい内壁がさらに収縮し士度自身を締めつける。
身体を駆けぬけるその熱を何とかやり過ごすと、マドカの最奥を穿つように激しく腰を打ちつけた。
「ハァ!ア…ッん!!」
内壁のある部分を掠めたとき、一瞬、マドカから全ての音が消え去り、そして全てがクリアになって戻ってきた。
あぁ、彼の浅く、荒い息遣いが聞こえる…彼の激しい鼓動、汗の匂い、こんな荒々しい波の中でも時折感じる優しい愛撫…
ほら、愛しい唇が振ってきた…
−自分を見つめる、士度の気配を感じてマドカは我に返った。
お互いに上がる息の中、二人の視線が重なる。
見えないマドカの目に映った士度は、どこか憂いを帯びているように見えた。
マドカはそれまで士度の肩に置いていた手を上げ、包み込むように彼の背中へ廻し、ギュッと力を込めた。
彼の背中からは僅かだが血の臭いがする…きっと我を忘れた自分の爪が引っ掻いたのだろう。
−士度…さん−
限りなく近くにいる、愛しい男の名を心の中でマドカは何度も呼んだ。
彼の名を呼ぶたびに高まる思い、早まる自分の鼓動…その血の一滴一滴さえ誰にも−渡したくない。
マドカの声無き声に答えるかのように、士度は彼女をきつく抱きしめた。
そして、蠕動する彼女の内部に身を任せる。
どちらともなく、二人は互いを慈しみあうキスを交わし、やがてマドカは内部に爆ぜて広がる熱い迸りを感じた。
−気が付いたら、マドカはパジャマを着てベッドの中にいた。
濡れた髪は纏められて、タオルで包まれている。
気配を探って手を伸ばすと士度はすぐ横に腰掛けていて、マドカが伸ばしてきた手を取り、
その甲に口付けながら罰が悪そうに呟いた。
「悪りぃ、無理させちまったみたいだな…」
「ホント、そうですよ。」
マドカは掠れた声で、少しおどけた風に言った。実際、身を起こす体力すら最早ない。
そして、酷使した身体に睡魔は急速に訪れる−
眠りに落ちていく中、自分の手を握り締めてくれている士度にマドカは思いの丈を伝えた−
−この手を…離さないで、下さい…ね−
−あぁ−と答える士度の声が遠くで聞こえた。
お願い、ずっとずっと、離さないで−−私は永遠に、あなたのものだから−
バスルームから時折聞こえる水滴の音と、恋人の静かな寝息に誘われながら、士度もいつしか眠りに落ちていった−
繋がれた二人の手を、月明かりがひっそりと照らしていた。
Fin.
【滴瀝】(テキレキ)=雫がしたたるさま。また、ぽたりぽたりとたれる雫。by漢字源
バスルームでHの巻でした…ひーかーなーいーでー;;;
まだエロくないですか?エロ過ぎですか?
イマイチ加減が掴めませぬ…。