「――は・…アッ……!!士度、さん……待って……ッ――!!」


バブルバスの淡い雲の中で、マドカは背後から彼女の腰に回されている士度の手を弱弱しく握ったが
彼の手の力が強まっただけで――腰をさらに水中に引き寄せられ、お湯の中で深く深く繋がる感触にマドカの喉から甘い悲鳴が上がった。
 

「―――ッ……」


彼女の首筋を擽った彼の熱い吐息に身を震わせながら
彼女は愛しそうに彼の手に指を這わした――


「マドカ・・・・・」


アップにされている彼女の長く美しい髪が幾筋か流れ、マドカのほんのりと桃色に染まった白い首筋を扇情的に飾っていた。

彼女が好んで入る西洋的な入浴方法のお陰で、その柔らかそうな肌に唇を落とせないことを少し惜しく思いながら
士度は再び彼女に快楽を求めた――

マドカの恥じ入るような、しかし愛らしい嬌声が広いバスルームに木霊する――


泡に塗れる彼女の、少し硬く張った乳房を鷲掴むように愛撫を施すと
マドカは一際高く啼き背を仰け反らせ――自然、彼女の中心が蠕動し、
身の内にいる彼を自身を締め付ける――
士度がクッと喉をならしながら、背後から彼女を包むように抱きしめてきたので――
火照る快楽に涙眼になりながらもマドカは身を捩りながら左手で彼の頭を引き寄せ――


甘えるように、キスを求めた。


彼の、彼女の唇はやはり

少し石鹸の味がする――


最初は舐めるように、その不慣れな味を確かめるように――
しかし互いの唇が重なり、舌が触れ合い――
その
口吻くちづけが徐々に深まるにつれて
甘い官能が熱く二人を満たしていく。

躯の大きな彼に包まれるように唇から愛を与えられている最中も
彼の手は彼女のしなやかな躰を渡り
武骨な指が胸の頂を悪戯に掠め
絡まりあう吐息に酔うような声を彼女から奏でていった。

不意に、繋がる部分に士度の少し節ばった指が触れ

急激な刺激に戸惑い首を打ち振る彼女の貌にあやすように口吻を落としながら、
士度は泡で視界が遮られているお湯の中でゆっくりとマドカの花口を撫で続ける。


「あ……ァ……」


この熱い水の中に躰が溶けてしまうのではないかと思えるほど篭る快楽。
背後の彼の――逞しい躯と、硬くも心地よい肌の感触にさえ、マドカはこの身を恍惚と染め上げるような眩暈を感じていた。

ビクリ・・・ッと彼女の細い躰が耐えるように揺れ、内側がヒクヒクと収縮し――
彼女の絶頂が近いことを士度にも伝える。


乞うように名を呼びながら身を震わせる彼女の躰を労わるように撫で、その耳朶を緩く、甘く噛みながら自身も徐々に上がる息の中で

彼は低く――しかし何処か濡れた声で囁く――



「――マドカ、
膣内なかに……出すぞ……」


「〜〜!!」


何度となく身を繋げても――彼女はこういった台詞に頗る弱い。
初々しい彼女の反応に士度は密かに目を細めながらも、返事を促すようにマドカの耳をもう一度擽る。

上気した肌をさらに紅色に染めながらも、彼女は恥らうように彼の手を握りながら目を瞑り――触れ合うだけのキスをすることで
ストレートな問いの返事の代わりとした。

今日は大丈夫な日――

だからこの躰の内側からずっとずっと

沢山沢山……


彼を、感じていたい――


彼女からの愛らしい
返事アンサーに応えるように
士度は穏やかな表情と共に彼女の頬にキスをした。

ほら、彼の・・・
こんな、何気ない仕草にも胸が締め付けられるほどに私は
嬉しい――



身を浸しているお湯が再び揺れはじめる――

徐々に痺れていく思考の中で、彼の確かな存在だけを追いながら
深く、情熱的に与えられる快楽に翻弄されながら――


マドカは音にならない声と共に震え
彼の腕の中でその身を解き放った――


刹那遅れて
内壁を叩くように滲みる熱い滾り。


一瞬その躯を強ばらせ

耐えるように鳴る喉。

肌に感じる違う熱さの吐息。

そして彼が力を抜く瞬間――

労わるように抱きしめてくれる優しさ。


躰と意識を熔かすような余韻の中で

マドカはその全てがいつも


愛しくてしかたがなかった。







媚熱

◆act.1◆

「――で、今回の休暇で柚木さんはS県のご実家に帰られるので、一人でF山へ紅葉狩りに行く木佐さんが途中までで車で送って――!?」


マドカがドライヤーを髪に当ててくれている士度の指先を心地よく感じながら音羽邸内の世間話に興じていると、突然、庭の方から聞こえてきたゴトン、という大きな音、その後に続くガラガラと何かが派手に崩れる音・・・。

休暇と休息の為に訪れたこの別荘に、今日から三泊四日程、士度とマドカの二人きり――二人は突然の騒音に目を丸くしながら顔を見合わせ、士度は外の様子を確認すべく、ドライヤーを鏡台に置いて窓際まで移動した。


「アイツら・・・・」


窓の下を見ると、日中に士度が割って積んでおいた暖炉用の薪の山が――ものの見事に崩れており、その周りでは自分達の失態を理解しているのか――頭を垂れた愛犬達が申し訳なさそうに鼻を鳴らしながら上目使いに士度を見上げていた。

「――どうしたんですか?」

士度の代わりにドライヤーを手に取ったマドカが、首を傾げる。

「ああ・・・連れて来た
犬達やつらが薪の山を崩してだな・・・・・・」


大方、山登りの遊びでもしてたんだろう・・・・向こうの車道にまで転がっているヤツもあるから、ちょっと行って元に戻してくるぜ・・・・――


髪、一人でも大丈夫だな・・・?――そう言いながら行きがけにクシャリと頭を撫でてきた士度に――子供じゃないんですから・・・!――とマドカはわざと怒った素振りを見せながらも――湯冷めをしないでくださいね・・・?――と彼を送り出した。
彼女の心配に相槌を打ちながら、士度が寝室から出て行く――マドカは再び髪を乾かそうと、ブラシを手に取ったが――ふと、何かを思い出したようにドライヤーを鏡台の上に置くと、ソファの傍らに置いてあったボストンバッグの中を探り、クスリの瓶を三つ、取り出した。

それはいつも飲んでいるサプリメント――ビタミンBとAとコラーゲン。

マドカはそれぞれの瓶の蓋を開けるといつも通り三錠ずつを手に取った後、瓶はそのままバッグに戻した。
こういった栄養剤の類は――士度の前ではあまり飲まないほうが良いだろうと、マドカは彼と長く過ごすうちになんとなく思っていた。
何でも
自然ナチュラル思考の彼のこと、栄養素は普段の食生活で取る分だけで十分だ――きっとそんな風に言うだろうから。
けれど恋する乙女の思考は少々違っていた――だっていつまでも綺麗でいたいもの、何よりも精一杯の愛をくれる、彼の為に・・・・――だから、もし彼に知れたら笑われるかもしれないけれど・・・・これだってちょっとした努力の一つ。

マドカはサイドチェストの上に置いてあった水差しからコップへ水を注ぐと、手にした錠剤を三回に分けて、水と共にゆっくりと嚥下した。
そしてようやく再び――ドライヤーのスイッチをオンにする。

彼がもう半ばまで乾かしてくれたから、あともう少し―――外からは<シド、ゴメン・・・!> <ゴメンッテバ・・・シド!>――と、モーツァルトやそのお友達の平謝りの声や、「おら、あっち転がってった分、取って来い!」――と犬達に指示を出す彼の声。
マドカはそんな夜の賑やかな音に目を細めながら、彼の指の後を追うように――ブラシをゆっくりとその長い黒髪にのせた。


――数分後。


外からは未だに4匹と一人の他愛ないお喋りが聞こえる中――マドカは震える手でブラシとドライヤーを鏡台の上に置いた。

体に――熱が篭る。

徐々に、少しずつ――しかし確かな足跡を彼女の細い躰に残しながら。
そして、その熱が――熱く滾る液体を一滴一滴静かに落とすように――彼女の下腹部にジワリと溜まっていく。

(・・・・な・・・に・・・・?)

身体に力が――入らなくなる。痺れるような疼きが全身を駆け抜け、左胸の鼓動がいつもより大きく、急く様にマドカの耳に響いていく。

窓を開けて――彼の名前を呼べば、この得体の知れない体の変調をきっとどうにかしてくれる――そんな考えがマドカの脳裏を過ぎったが、彼女は窓辺には近づかなかった――だって、この感覚はまるで・・・・・


(・・・・欲情・・・・しているみたいじゃない・・・・・)


マドカの貌がサッと朱に染まる――
彼に――触れられていないのに、こんなにも変わっていく自分の身体が、マドカにはどうしようもなく淫らで、恥ずべきものに感じられた。
彼の――士度の手が、唇が、吐息が――自分の躰を巡り、触れ、愛して――与えてくれる甘美な感覚に身を委ねることはこの上ない喜び。
けれど一人で――理由の分からぬまま、淫蕩な熱に翻弄されている自分を、マドカは彼にどうしても見せたくなかった。

薪を片付けて戻ってきたらきっと彼は――私を抱きしめてくれるだろう――きっと、深く、深く愛してくれる・・・・――

だから、その前に・・・・どうしても・・・・

――この熱を沈めなければならない・・・・・私が欲しい熱は、彼から与えられるものだけだから・・・・・


「でも・・・・どうし・・・・て・・・・?」


マドカが目に涙を溜めながら、とりあえず横になろうとベッドの淵に膝をついたそのとき――ゾクリと下肢を駆け抜ける・・・・内側から触れられるような戦慄――そしてコポリ・・・・と音を立てながら、彼女の中心からトロリとした白い液体が流れ出し、マドカの大腿を緩やかに伝っていった。


「あ・・・・・」


(士度、さんの・・・・・・)


足を伝う彼の残滓の確かな感触が、マドカの心に暖かいものを流し込む――

彼女はやっとのことでポスン・・・・とベッドに身を沈め――彼の証が溢れ出た場所に、そっと手を寄せる。


(ダ…メ・・・・・・出て来ない・・・・で・・・・)


躰を動かす度に愛らしい音を立てながら内側から零れてくる彼の名残を留めようと、マドカは緩々と――彼の精をその身に塗りこめるように、白く、細い指を動かした。


「ふ・・・・ァ・・・・」


普段、自分では弄ることのない箇所のへの接触に、マドカは無意識に背を丸め――それでも早く彼の熱と共に一度達してしまおうと――そうすればこの唐突な熱からも解放されるだろうと――彼の残滓さえも溶かして、混ぜてしまうほど滾々と溢れる愛液に戸惑いながらも自らに愛撫を施す。
――手を濡らす蜜を花口でゆっくりと掻き混ぜながら、恐る恐る秘芽に触れ――自分の指が施す官能の波に、躰が揺れて時折、手が止まる―――生理的な涙がマドカの頬を濡らし、甘い吐息がシーツに吸い込まれていった。

クチュリ・・・ぺチャ・・・・――自分の指が紡ぎ出す卑猥な音は部屋に響き、痺れるような波が時折この身を泡立て、虚ろな悲鳴を喉から引き出すのに――


(や・・・・なん・・・・で・・・・?)


普段、彼が施してくれるような、身の底から沸き上がる決定的な快楽は、この身に降りてはこない――考えてみれば――彼が普段、あの逞しい指で、熱い舌で、優しい唇で――ここを愛してくれているような感覚を、マドカの慣れず拙い指の動きが再現できるはずもなく。
こころなしか躰の火照りも熱も上昇し始め、半ばパニックに陥っているマドカの心をさらに焦らせた――


(早く・・・・しないと・・・士度、さん・・・・戻ってきちゃう・・・・!)


大好きな彼の指の感触を――マドカは潤む目を閉じながら心の中で懸命に思い出し――彼が自分の中心を――いくらマドカが恥ずかしさで身を捩ろうとも、いつも丹念に辿るその道筋に指を沿わせた――それは全て私の躰が
記憶しておぼえているコト――それだけでまるで――本当に彼が触れてくれているときのように零れ、流れ出す彼女の蜜。


「ア・・・・やぁ・・・・・」


熱を沈めようとする彼女の想いとは裏腹に、身体は自分の言うことをまるで聞こうとはせず、反対に内側が滾るように疼き――着ているネグリジェが肌に擦れるだけでも、彼の唇に触れられたときのような擽ったさをマドカに伝えてくる。

足り・・・・ない・・・・――彼の指はもっと硬く、逞しい皮膚で・・・・自分よりも強く、ときに優しく――私のココに触れ――身の内に潜り込んでくるときだって・・・・私よりずっと長い指がもっと確かな質量で・・・・私の届かない処まで撫でて・・・・時々・・・・・壊れるんじゃないかってほど激しく・・・・・

熱が――思考を熔かし始め、中心で戸惑うように動かしていた手にも、徐々に力が入らなくなってきた――


そのとき


不意にベッドがキシリと鳴ったかと思うと


「―――!!」


横たわった形のまま、後ろから徐に抱きすくめられ――


思わずビクリッ・・・・とその動きを止めたマドカの愛液に濡れた手を――そっと持ち上げられた。


「ヤッ・・・・!!士度、さん・・・・・!!」


飛ばしかけていたマドカの意識は一気に覚醒し、その貌が一瞬にして燃え上がった――彼に、こんなところを・・・・見られるなんて・・・・・!!

士度は彼女の手についた愛液をペロリと舐めた後、羞恥と自己嫌悪で今にも泣き出さんばかりのマドカの頬にあやすようなキスを落とすと――震える彼女の手を背後から再び――彼女の中心へとあてがった。


「・・・・・・え?」


マドカが不安そうに背後を伺うと


「どうした・・・?続けてくれ・・・・・」


彼女の首筋に唇を当てながら、士度は当たり前のように呟いた――彼からの思いがけない要求に驚愕し、すっかり固まってしまった彼女の躰の中心を、士度は己の手の中にある彼女の指を使って――ゆっくりと愛撫を促し始める。


「アァ・・・・!!や・・・・士度さん・・・・やめ・・・・て・・・・!!」


彼の腕の中で身悶えながらマドカは悲鳴を上げて抵抗したが、空いていた左腕の脇から、彼の左手が伸びてきて――「ここは・・・・触らないのか?」――と、すっかり固く張ってしまっている彼女の乳房を柔らかく揉みしだいた。マドカの喉がヒュッと鳴り・・・・彼女は無意識にその躰を縮こまらせる。


「ほら・・・マドカ・・・・見せてくれ・・・・・俺がいない間、どんな風にお前が自分を・・・・・・」


慰めているかを―――


耳元で囁かれる彼の言葉に眩暈を覚えながらも、マドカは弱弱しく首横に振り続け――紅く濡れた唇が、空気を求めるように戦慄く。


いつしか彼女はウットリと――胸に施される愛撫と、彼の手に操られながら淫核に触れる自分の手に酔いしれながら――左手で彼の逞しい腕に縋った。


恥じらいながらも、すっかり抵抗をやめてしまった彼女の首筋を舐めながら、いつもよりどこか淫蕩な彼女の様子に――士度は刹那、首を傾げたが、フルリと震えはじめた彼女の躰に絶頂を与えるべく――少し乱暴に乳房を掴み、その小さな悲鳴と共にヒクついた彼女の蜜口に――彼女の細く、愛らしい指を差し込ませてやろうかと手を動かした――しかし


「ン・・・・っはあっっ・・・・・ッ――」


彼の手が彼女の淫核を掠めた途端、彼女はビクリと大きく震え――その背を完全に、背後にいる士度に預けてきた。


おや――と士度は一瞬、少し残念そうな顔をする。
できることならば彼女の――自らの手で淫らに震える様を、もっと見ていたかったのだが。

士度は余韻に身を震わせる彼女の肩口にチュッと音を立てながら唇を落とした――すると、ビクンッと彼女の肢体が跳ね――クプリと小さく鳴る彼女の下肢。
そのときになって士度は初めて――彼女の躰の異常に気がついた。


「マドカ・・・・?」


抱き起こすために彼女の躰に触れるだけで啼く、彼女。
マドカは縋るように士度に抱きついてきたが、彼の腕の中でも、快楽の余韻にしては激し過ぎる動悸を持て余しているようで――

士度が彼女の顔を覗きこむと、彼女の口から微かに――花の蜜のような芳しい香りがした。


「・・・マドカ、お前の身体・・・・どうした、何か薬でも飲んだのか・・・?」


士度からの訝しげな問いに、マドカの瞳が戸惑うように揺れる――


「あの・・・・サプリメントを・・・・ビタミンAとBと・・・・・コラーゲンの・・・・・」


でも・・・・いつも、飲んでるもので・・・・・ごめんなさい・・・・―――


マドカの申し訳なさそうな声に、士度は彼女の頬を撫でてやりながら――何処にある?――と短く聞いた。マドカのことだ、悪い薬に手を出すような心配はないが、何かの悪戯で中身が変わっている可能性がある・・・・・


「ソファの傍に置いてある・・・・ボストンバッグの中に・・・・」


士度は彼女から身を離し、ベッドを降りた――彼女が見せた寂しそうな顔が、彼の嗜虐心を少し擽る――

彼は彼女のバッグの中身を確認した――確かにクスリの瓶がいくつか入っている――ビタミンA、コラーゲン、ビタミンB・・・・・最後にもう一つ・・・・

『aphrodisiac』――と英語のラベルが貼ってあるもの。何のことだか士度にはサッパリだ。


「・・・・マドカ、この外国のクスリは・・・・何だ?」


彼の言葉に、少し落ち着きを取り戻したように見えるマドカは驚いたように目を瞠った。


「外国のお薬なんて・・・・私、持ってきていませ・・・・・!?」


彼女は何かを思い出したように瞳を泳がせる――


「あの・・・・今朝方、出発する前にヘヴンさんがハーブを取りに来られて・・・・二人で別荘に行くって言ったら、“美味しいものだから、二人で楽しんでねv”ってバッグに何かを入れてくれて・・・・・」

すっかり忘れていたんですけど、そのとき私はお菓子か何かだと思って・・・・――


そんな彼女の言葉に士度は「アイツ・・・」と短く舌打ちをしながら唸ると、ソファに放っておいたジャケットから携帯を取り出し、仲介屋の番号に電話をかける。

一方マドカは・・・・あの狂ったような熱が収まったことに密かに安堵の溜息を吐くと共に・・・今更ながらに――自分の自慰行為を士度に見られたという現実を突きつけられ、羞恥と後悔に身を染めていた――もしかしたら後で・・・よく確かめなかったから軽率だったと・・・士度に叱られるかもしれないことを、覚悟しながら。
それに自分はヘヴンさんがくれたクスリを飲んでしまったみたいだけれど、彼女のこと、危険なモノを渡すはずがない――そんな風に、ちょっと安心したりしながら。


「――あぁ、俺だ・・・・夜中にすまねぇが・・・・・なぁ、アンタ、今朝方・・・・マドカに何渡したんだ・・・・」

電話の向こうから再び弾けるように聞こえてきた仲介屋の声に、士度は眉を潜めた。


<ヤダァ、士度クン、もうお楽しみ?あれって効き目抜群の催淫剤でね、一錠で一晩中楽しめて・・・・遅効性なのがまた燃えるところで、私も今度柾と・・・・・>


「〜〜!!
この阿呆!!


あの女狐!!―― 一喝と共に電話をブツリと切った士度は、携帯を叩きつけるようにソファに投げつけた――そして困惑したように頭を掻きながら、マドカの方を振り返る――


「・・・・なぁマドカ、アレ、何錠飲んだ――ッマドカ!?」


見ると彼女は苦しそうに胸を押さえ――瞳に一杯の涙を溜めながら、震える手で力いっぱいシーツを掴んでいる――




途方もなく長い夜が――

二人を淫美な夢へ誘う扉へと、不気味な音を立てながら誘っていた――











裏初の短期集中連載ということで・・・・陣中見舞いも兼ねてv暴走予定でございます☆