「今日はずいぶんと機嫌がいいんだな、薫流。」
「士度のところへ行って来た。奴のところは心地良い。」
「士度が好きか?薫流。」
「何を馬鹿なことを訊くのだ、劉邦?当たり前ではないか。」
「いや・・・ならば言い方を変えたほうがいいかもな・・・。士度はお前にとって、何だ?」
「それも分かりきった愚問だな。彼は兄のような、家族のような・・・傍にいてくれたら安心する存在だ。そして誰よりも大切な仲間ではないか。」
「それじゃあ、俺はお前にとって、何だ?」
「猪突猛進で無鉄砲で・・・・何だか放っておけない、やっぱり大切な仲間だな。どうしたのだ、劉邦?」
「・・・・そ、そんなに近寄るなよ・・・・。」
「?顔が赤いぞ?熱でもあるのか?」
「薫流・・・・お前、士度には決まった相手がいるって、知っているだろう?」
「音羽マドカのことか?士度と音羽マドカの絆と、私と士度の絆は似ていて異なるものだ。何も気にする必要は無い。」
「士度とは、
「それも、承知している。お前、さっきから当たり前の事ばかりいっているぞ?」
「俺は、お前の事を・・・特別だと思っている。」
「士度もお前も、私にとっては特別な仲間だ。」
「・・・・そーじゃなくてよ。」
「お前、今日は早く寝たほうが良い。話にならん。」
「・・・・じゃあ、分かるように教えてやるよ・・・・」
「劉邦?」
もう、待てない――俺は十五年もお前の事を見てきたのに、お前は・・・・。
だからお前は、周りが見えていないと、よく言われるのだよ・・・・。
Fin.
この二人の関係はこんな風に済し崩しに始まった感が否めません;